株式会社 未来技術研究所


カシミール効果
真空・・・
「何もない空間」が一見ゼロに見えるのは実はそこを境目として正と負のエネルギーがせめぎあい全体としてプラス・マイナスでゼロになっているにすぎない。
イギリスの物理学者ポール・デイラックは相対性理論にもとづく電子の運動方程式を完成させた。
(光速度の絶対性を前提とした電子の運動の公式)
ところがこの方程式を解いてみると、そこには通常の正のエネルギーをもった電子のほかに負のエネルギーを持つ電子というものがあらわれてきてしまう。もし負のエネルギーを持つ電子などというものが正のエネルギーの電子と対をなして存在するのだとすれば正の電子は負の電子の状態に流れ込み、プラス・マイナス=ゼロでこの世から電子というものが全部消えてしまう。しかし、デイラックはそのような現象は起こらないと発言し、実はすでに負のエネルギーの領域にはぎっしりと電子が詰まっており、もはや正のエネルギーを持つ電子がそこに入り込む余地は全くないというわけである。イギリスのアンダースンは宇宙線の中から陽電子を発見しデイラックの理論を立証した。

宇宙のすべての素粒子は真空の壁の向こうにその相棒を持つ。そして真空とは「何もない空間」どころか負の粒子に満ちた世界だったのである。この真空のことを「デイラックの海」と呼ぶ。現代物理学が指し示すところでは真空には膨大な粒子が我々に観測できない状態で詰まっている事になる。粒子には質量があり質量とはエネルギーのひとつの形態である。つまり、真空は膨大なエネルギーの塊だということになる。
非常にミクロなレベルでは正と負のエネルギーのせめぎあいが続いておりその中から正と負の粒子のペアが現れては消えるという現象が実験的に確認されている。そしてそのような極微の領域においては現実に計測可能なほどの力が間違いなく生じているのである。

実験によって、真空の内包する力を確認する事ができる

その原理は正確な平面に磨いた二枚の薄い板をただ極端に接近させるだけでいいのである。その間隔が十分に小さくなるとこの間に含まれる真空のゆらぎ、つまり正と負のエネルギーのせめぎあう力のうち、板の間隔より波長の長いものがシャットアウトされてしまい、そのごく一部しかそこに入り込むことができなくなるのである。その結果二枚の板の間では、真空の圧力が外側よりも減少し2枚の板は外から押されてわずかに間隔が狭くなる。この現象をカシミール効果と呼んでいる。これをうまく利用すれば真空からエネルギーを汲み出す事ができる。カシミール効果は間にはさむ真空のスケールが小さければ小さいほどより顕著に現れるはずである。そしてもし完全な平面の間で正と負エネルギーのゆらぎを完全にとらえ、継続的に開放する方法が存在すれば、それはとてつもない応用分野を産む。

もしこの宇宙の真空があの最大推定値に相当するエネルギーを持つならば10-5センチの真空領域が含むエネルギーを直接宇宙船の噴射に変換するならば宇宙船の初期質量には関係なく飛行させることが可能となるであろう。(ゼロ・ポイント・エネルギーの収集領域をいくらでも増やせばよい)真空よりもさらにエネルギー密度の低い領域を人工的に作る事により、そこに真空のエネルギーを流れ込ませる発想ができるのである。

 
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